友人に薦められて、今までに読んだことがなかった川上弘美、梨木果歩にチャレンジしてみました。どちらも独特の世界観、独特の描写、独特の空気があって新鮮で、とても楽しめました。

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川上弘美 『センセイの鞄』 文春文庫、2004年

高校時代の恩師「センセイ」と過ごす穏やかで、少し切ない日々。居酒屋、きのこ狩り、旅館など、食事の描写が多く出てくるのですが、どれも言葉が少ないにもかかわらず美味しそうで、素敵でした。体を崩さず国語の先生らしく「正しく」話すセンセイの言葉にも、そこかしこに暖かさを感じて、憎まれ口と酒の肴が好きになりそうな一冊でした。(解説もまた一興です)

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川上弘美 『ニシノユキヒコの恋と冒険』 新潮文庫、2006年

連作短編集。どこかが欠けている(というか「欠落」「欠如」しているという方が正しい気がする)ニシノユキヒコをめぐる物語。それぞれが色々なニシノユキヒコを見ているのだけれど、どこか奇妙な部分が欠けていて、それがまた彼を惹きつける(と同時に離していく)。ふぃと吹く風のような彼の生き方を切なく描いていて、飾らない文章が美しい一冊。

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川上弘美 『夜の公園』 中公文庫、2009年

上の二つに比べると、何となく少し薄味に感じる一冊、でもそこが良い。(アマゾンでの評価があまり高くないのだけれど、個人的にはもう少し星がついてもよいかと思います…。)秋の冷たい風が吹き抜ける夜の公園、暖かい家庭とは少し違う夫婦生活、どこかクールで温度が低めの人付き合い。「りり」の放つ一言とか、「幸夫」のもうどうにもならないような感情の描写とか、ふとしたところに川上弘美の独特の世界があったように思います。