10月になりました。天高く馬肥ゆる秋。少し前に読んだ本だけれど、せっかくなので読書のカテゴリーを一稿書こうと思います。

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西水美恵子 『国をつくる仕事』 英治出版、2009年


大分に旅行中、時間つぶしに寄った本屋さんでふと見つけた一冊。ノウハウ本とか「こうしなさい!」という本はあまり買わない性分なのですが、何となくタイトルにひかれ、最初の数ページを読んで買うことを決めました。帯についていた《リーダーシップ》かくあるべき的な文句よりも、むしろ、その著者の仕事と自分の考えていることがリンクした、というのが率直な理由です。

すでに幾つかのメディアでも取り上げられたのか、Amazon.co.jpでもかなりコメント数がついていますが、読んでみて「なるほど、よかった」と思えた一冊でした。基本的には雑誌の連載の単行本化なので、一つひとつの話は短いのだけれど、そこに出てくる人と著者の西水氏が感じたことが、脚色もなく(よい意味で)普通に書いてあることで、自分にとっては飲み込みやすかった。

カンボジアを旅行したときに、アンコールワットのまわりで、子供たちが葉書やら小物を買ってほしいと寄ってきた。かと言って、この子たちに写真がプリントされた葉書を作る技術も機会もないだろうし、買わないのを申し訳ないようにも感じつつ、どこか腑に落ちなくて煮え切らなくて、遺跡の美しさを目の前にしつつ、自分の立場と彼らのことを考えていた。

西水氏が見てきたような「現場」は今の自分はまだまだ知らない。でも知らねばならない、と思う。多くのコメントで触れられているような「リーダーシップ」ないし「リーダー」という点も印象的ではあったけれど、むしろ世界の現状を見た時のつかみどころのない罪の意識のような、すっきりしない感覚、そしてそれに挑む《正義の味方》が抱える難しさにはっとした。