今に始まったことではないのだけれど、小説の中に出てくる人物の名前はどれも素晴らしいものだなぁと思う。すでに書かれている名前以外では、やはりどうもしっくりこない。

ノンフィクションないし歴史小説(例えば、司馬遼太郎の「新撰組血風録」や「燃えよ剣」、城山三郎の「落日燃ゆ」などなど)なら、その人の人となりが若干なりとも世間に流れているわけだけれども、特にフィクションの世界での名前は、どれも素敵だなぁと感じてしまう。

今度映画化される「重力ピエロ」(伊坂幸太郎)の泉水と春。恋愛小説の金字塔のような「キッチン」(よしもとばなな)に出てくる桜井みかげ。個人的に一番好きと言っても過言でない短編小説集「つめたいよるに」(江國香織)の中に出てくるデューク、さよ、草之丞など。

名前が小説に影響を与えるのか、それとも小説のストーリー展開が名前を決めていくのか、実際そこはよく分からない。…のだけれど、一冊本を読み終えるたびに、どうしてこの人は、この登場人物をこう名づけたんだろうか、と考えずにはいられません。次は何読もうかな。