久しぶりの「読書」のカテゴリー。しかも今まであまり手に取ったことのないジャンルの本を読んでみました。授業で、先生が言っていたような気がして買ったんだけれど、いざ買ってみると、果たしてどの先生に言われたのか忘れてしまった。ともかく、読んでみようと。

---
城山三郎 『落日燃ゆ』 新潮文庫、1986年


---
太平洋戦争後の極東軍事裁判で、文官としてただ一人死刑宣告を受けた元首相・外交官である広田弘毅の生涯を描いた作品。作品の内容そのものについては賛否両論あるかも知れませんが、文体がはっきり洗練されていて、非常に読みやすい作品だった、というのが自分の感想です。

江國香織さん、だったような気がするんですが、小説の中のフィクションと現実の境目というのは相対的なものであって、絶対的なものではないという文章を読んだ気がします。この「落日燃ゆ」もそんな作品なのかも知れません。あくまで目線は、というかスタンスは、文官として筋を通そうとした広田弘毅。
批判的に読まなければいけないのかも知れませんが、個人的にはすっきり読むのもいいんじゃないかと。

僕としてはこれまでこういったものを読んだことがなかったので、新鮮な印象でした。作者自身の「あとがき」が収録されていないのが少し残念ではありましたが…。一冊の文庫本として以上の価値があるものだったと思います。